就職しないで、ブロガーになった人のBlog

就職して雇われてお金を稼ぐという従来の働き方にとらわれない、未来の生き方を模索していきましょう。

派遣切りを叩いている時点で劣悪な労働環境はこの先も改善することはない

【スポンサードリンク】

2008年末ごろに「派遣切り」という言葉が話題になった。当時、私は大学2年で、他人事のように見ていたけど、3年生のときに大学の労働経済論という授業にて、当時話題になっていたネットカフェ難民や日雇い労働について学ぶ機会があり、労働者や雇用に関して興味を持つきっかけになった。あれから10年くらい経ちますけど、派遣切りという言葉は当時ほどは聞かなくなったが、未だに存在するはず。派遣切りという言葉はやや抽象的だが、期間満了前に契約を打ち切ることと契約期間満了に伴い更新を打ち切られることの2つを含むらしい。期間満了前に契約を打ち切ることに関しては、契約違反となる可能性があるため、個人的には問題だと思っている。ただ、経営状況の悪化などでそれが合法とされる場合もあるみたいだが。しかし、後者の契約の更新拒否に関しては企業を責める余地は0だ。何も悪いことをしていないからだ。しかし、当時もそうだったと思うけど、こういった派遣切りも世の中では会社を責める声が多かった気がする。それは労働者にとって窮地に追い込まれるからですよね。多くの人は雇用されている人間であり、派遣で働いていない人も、自分がそういう目に遭ったらということを考えたときに、企業側に対して悪い印象を抱くのでしょう。

 

しかし、客観的に見て、こういった派遣切りは何も悪いことをしていないと評価できるのだ。だって、企業としてはやるべき義務は全て全うしたのだから。契約期間内はちゃんと働かせて、所定の給料を払ったという状況ならば、義務は履行している。だから、企業にとって必要のない人材はこれ以上雇わないというのは当たり前の話でしかないのだ。でも、労働者にとってみれば、そんなことをされたら自分の生活が困る!これからどうしたらいいんだ!と思うだろうし、それに共感する人が多いからこそ、派遣切りは批判されたのでしょう。でも、家賃が払えなくなって家を追い出す大家を責める人はほとんどいないと思うんだけど、こっちは何で良いの?家を追い出されたら、生活に困るのは一緒なのにね。そして、家賃を払わない(契約を履行しない)から追い出すことが正当になるならば、契約満了にともなう雇止めを責める余地なんかない。どちらも契約の範囲外の話だからだ。こういった部分も含めて、当時派遣切りをしていた企業を批判していた人たちに対して、なに訳の分からないことを言っているの???と私は思うしかない。どう考えても義務のないことを無理やりやらせようとしているのだ。労働者が生活に困るというのはその通りだろう。しかし、雇用契約で結ばれた範囲内の義務を会社側が履行している以上、契約を更新して自分たちの生活を安定させろ!という要求は、当初の契約の範囲外になってしまう。それってどういうことか?というと、義務のない人に対して特定の要求を実現しろ!と言っているわけだ。

 

要するに、街を歩いていて、たまたま前の前にホームレスの人がいて、お金めぐんでくれませんか?と言われたら、その要求を実現しないといけないのと同じなのだ。当然ながら、ホームレスの人の目の前をたまたま通りかかった人にそんな義務はない。しかし、派遣切りを批判している人たちが言っているのはまさにこれなのです。また、別の言い方をすると、義務のない人に特定の要求を実現すべきだという主張をするのであれば、それはもはや企業である必要がないということになる。義務のない人にやらせることが正しいとなると、誰でも良いわけですよ。みんなそんな義務ないもん。つまり、派遣切りが問題だと思って批判している第3者は当時も多くいたはずですが、その人が更新拒否された人の生活の面倒を見れば良いわけですよ。なんでやんないんですかね???その人の言い分によると、義務がない人に派遣で働いている人たちの生活の保障をさせることが正しいと思っているわけじゃないですか?じゃあ、まさに義務がないあなたがやればそれで済む話なんですけど?当然ながら、やりたくないですよね。それは企業も一緒です。そして、そもそもそんな義務がないのも一緒です。派遣切りをめぐる世論は明らかにおかしなことを言っているのに、誰もおかしな状況に異を唱えないのです。私から見れば、世の中から悪者扱いされていた派遣切りを行っていた会社というのは、むしろ世論からの集団リンチを受けている被害者に見えてきます。

 

ちょっと話は変わるけど、西村博之氏が面白いことを言っていて、最近話題になっている漫画村の是非についての話をしていたときに、「モラルに訴えて上手くいったことなんかないんですよ」ということを言っていたのだ。これは法律ではなく、モラル的に漫画村を利用するのはよくないだろうという批判が実際にあったみたいなのだが、そういう批判をしている人に対して、上手くいった試しがないのだから、無駄な行為でしかないみたいなことを言っていたのです。派遣切りについてもまさにそうで、派遣切りを叩いても事態が好転したとは思えないのです。だって、派遣切りをする会社だって、派遣切りをしないと生き残れない可能性があるからやるわけです。つまり、生存競争に勝つために必要な手段だからやるわけで、そこを労働者の生活のことを考えろ!とか言っても無駄なんですよ。そこで派遣切りをやめたら、会社の経営が傾く可能性があるわけで、結局のところ、本来何の影響もなかったはずの正社員などへの悪影響も懸念されるようになります。だから、そもそもモラルに訴えて、派遣切りを批判しても、上手く余地はほぼなかったと思うのです。批判をすることで何も解決になる兆しはなかったと思います。つまり、根本である国に文句を言うのが筋だったのです。実際、あれから10年くらいたって、法律なども改正されたりしましたけど、派遣切りの問題、派遣社員の労働環境や生活の不安定な部分の問題はいまだに残っています。

 

そりゃ当然ですよ。企業と労働者の利益はトレードオフなんだもん。労働者を保護するような法律を作ったり、法律を改正するってことは、企業側にとっては負担になるわけだから、企業側は抵抗するに決まっているわけじゃないですか?法の抜け道などを利用して、結局法の趣旨に反するようなことを合法的にやろうとしますよ。そして、さっきの西村氏の言葉を借りれば、労働者の生活の安定を企業を通じて行おうとして、今までそれが上手くいったことってあったんですか???ということです。改善が全くなかったとは言わないが、根本的な解決にはいまだ至っていないと思うのです。労働という手段を通じて生活の安定を図るというのが世界共通だと思うのですが、少なくとも日本においては、企業側が絶対に抵抗するので、上手くいくとは思えないのです。政治家もいい加減に学んでほしいと思うし、企業に対して派遣切りを批判したり、デモをやったりしている人たちも学んでほしい。労働条件や雇用条件の改善を狙ってそんなことをやっても、あなたたちの今の状況がよくなることは考えづらいです。あなたたちがやるべきことは、国に対して直接自分たちの生活を安定させるための施策の要求です。企業だって、守るべきものがあるのだから必死で抵抗して当然なんですよ。だから、労働を通じてではなく、国が直接あなたたちの生活の安定を保障するベーシックインカムを要求すべきですし、そっちの方がよっぽどあなたたちの生活状況が改善する可能性は高いと思います。企業が派遣社員の生活の安定を図る義務はどう考えても説明できないが、国がそれをやるべきというのは説明が容易だと思うのですよ。だって、私たちは国民だもの。

 

雇用破綻最前線――雇い止め・派遣切り・条件切り下げ (岩波ブックレット)

雇用破綻最前線――雇い止め・派遣切り・条件切り下げ (岩波ブックレット)

 

 

あわせて読みたい記事